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※この記事には『スーパーマン』のネタバレが含まれています。ご注意ください。
ついに公開されたDCスタジオの初の劇場公開映画である『スーパーマン』。
往年の名作ヒーロー映画の1978年版『スーパーマン』をオマージュした音楽やビジュアル戦略から、幅広い年代から注目されている本作は、新たに『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズや『ザ・スーサイド・スクワッド』のジェームズ・ガン監督を迎えて、新時代のスーパーマンの活躍を描いた。
シェアード・ユニバースの「DCU」の本格始動を示す『スーパーマン』の感想レビューをしていこうと思う。
現実世界の出来事を反映しながら、スーパーマンがどのような影響をもたらしていくのか?詳細を見ていこう。
『スーパーマン』(2025)のストーリー(ネタバレあり)
映画は北極のシーンから始まる。
まるで『スター・ウォーズ』のオープニングスクロールのように、北極の景色を映しながら、本作の世界観をテキストで説明していく。
『スーパーマン』の世界、ひいてはDCUの世界では、300年前にメタヒューマン(超人)の存在が確認され、30年前に他の星から異星人の幼児が飛来する。
3年前、その異星人の幼児が成長し、スーパーマン(デヴィッド・コレンスウェット)を名乗ってヒーローとして活躍。
3週間前、ボラビア国が隣国へ侵攻するが、スーパーマンが独断で戦争を阻止。
そして3分前、ボラビアのハンマーに敗北したスーパーマン。
傷ついたスーパーマンは北極に墜落する。
瀕死の重傷を負ったスーパーマンは口笛を吹き、同じく超パワーを持つ犬クリプトを呼び寄せ、「孤独の要塞」まで運ぶように頼む。そのまま引きずられるようにして連れていかれる。
北極の氷から現れた結晶のような巨大構造物「孤独の要塞」はスーパーマンのDNAによって出現し、扉が開く。中ではスーパーマンの世話をするスーパーマンロボたちが待機しており、治療が始まる。
地球の「黄色の太陽」の光を浴びて急速に回復したスーパーマンは、再びボラビアのハンマーに挑むためメトロポリスへ向かう。
しかし回復後も劣勢に立たされ、再び敗走してしまうことに。
ボラビアのハンマーを操っていたのは、レックス・コープ社の社長であり世界的天才のレックス・ルーサー(ニコラス・ホルト)。その内部にはブラックスーツにゴーグルを着けた不気味な存在「ウルトラマン」が搭乗していた。
ルーサーは、自らに埋め込んだナノマシン「ナナイト」で強化されたエンジニア(マリア・ガブリエラ・デ・ファリア)に命じて孤独の要塞を発見させる。
ウルトラマンを伴って北極に向かったルーサーは、なぜか要塞を出現・開門させることに成功するのだった。
要塞のロボたちは侵入を阻止しようとするが、ウルトラマンとエンジニアによって容易に破壊される。クリプトも制圧され、ルーサーに捕らえられてしまう。
そのころスーパーマン=クラーク・ケントは、記者として働くデイリー・プラネット社で、ロイス・レイン(レイチェル・ブロズナハン)と先日の敗北やスーパーマンの国際介入への批判について議論していた。
本作ではクラークとロイスはすでに恋人関係であり、ロイスもクラークの正体を知っている。
仕事を終えた二人はロイス宅で「スーパーマンへのインタビュー」を始めるが、国際情勢への介入をめぐって意見が対立。険悪な空気のまま、クラークはロイス宅を後にするのだった。
その頃ルーサーは、要塞内に残されたクラーク・ケントの本名であるカル=エルの両親のメッセージをエンジニアの技術で復元する。破損していた後半部分を修復した結果、両親が「地球を侵略し、クリプトンの子孫を残せ」とカル=エルに使命を残していたことが判明。
スーパーマンは、ルーサーの送り込んだ巨大怪物「カイジュウ」との戦いに、ジャスティス・ギャングのミスター・テリフィック(エディ・ガデギ)、グリーン・ランタンのガイ・ガードナー(ネイサン・フィリオン)、ホークガール(イザベラ・メルセード)と協力し勝利する。
だがルーサーは、孤独の要塞で発見したカル=エルの両親のメッセージをテレビやSNSを通じて世界中に暴露してしまう。
「スーパーマンの真の目的が地球侵略」と広まり、スーパーマンは市民たちに避けられてしまう。
危険を察知したスーパーマンは北極へ戻るも、要塞は破壊され、ロボたちの残骸だけが残っているのだった。
クリプトも誘拐され、ピースメイカー(ジョン・シナ)にもテレビ番組で非難されたことで、スーパーマンは心身ともに追い詰められる。
自宅に戻ると、ロイスがクラークの帰りを待っていた。先日のことを互いに謝罪し、ロイスはスーパーマンが地球を侵略するなど考えていないと伝える。
ロイスと和解したクラークはルーサーに捕まったクリプトの居場所を突き止めるため、自ら捕まる決断をする。
ルーサーは捕らえたスーパーマンをポータル装置で「ポケットユニバース」という別時空の牢へ送り込むのだった。
その牢には、どんな物質でも生み出せる超人メタモルフォ(アンソニー・キャリガン)が囚われていた。ルーサーは彼の息子ジョーイを人質に、クリプトナイトの生成を強要。
クリプトナイトはスーパーマン最大の弱点であり、近くにあるだけで体力が著しく低下し、呼吸すら困難になる。
立ち上がることもできないスーパーマンに、ルーサーはかつてスーパーマンが救った市民に銃を突きつけながら、秘密や情報を引き出そうとする。
スーパーマンは無力のまま目の前で市民を殺され、その光景に本来温厚なはずのメタモルフォも涙を流す。
その姿を見たスーパーマンはメタモルフォを説得し、クリプトナイトを消してもらい、さらに様々な物質を組み合わせて小型の太陽を生成してもらうことで急速に回復する。
一方でロイスはクラークを救出するため、ジャスティス・ギャングに協力を求めるが、消極的な反応に直面する。
唯一ミスター・テリフィックが協力し、ポータル装置のあるビーチへ同行。
ポケットユニバースへのポータルの起動に成功した二人は、ドローンでスーパーマンの居場所を捜索。メタモルフォ、赤ん坊のジョーイ、クリプトと共にいるスーパーマンを発見した。
暴走しかけたポータルから、全員を間一髪で救出した。しかしスーパーマンは反陽子の川での戦闘やブラックホールに巻き込まれた影響で再び重傷を負う。
ミスター・テリフィックの円盤に乗ったロイスとクラークは、地球でのスーパーマンの両親であるジョナサン・ケントとマーサ・ケントのもとへ。クラークは太陽の光と両親の温かさに癒され、一晩療養することに。
自らが侵略のために送り込まれたと知り落ち込むクラークだったが、ジョナサンの「どう受け止めるかは自分次第」との言葉に背中を押され、再び立ち上がる。
一方メトロポリスでは、ルーサーが暴走させたポータル装置により巨大なポケットユニバースの亀裂が発生し、街が崩壊していた。
さらに同時にスーパーマン不在を好機と見たボラビアが再び侵攻を開始する。市民たちは再びスーパーマンの助けを求めることに。
スーパーマンはミスター・テリフィックとともにメトロポリスへ戻り、ウルトラマンとエンジニアと交戦。
ナナイトによって全身を侵食されるが、大気圏外まで上昇し、地面への急落下でエンジニアを気絶させ、ナナイトを除去。
スーツが破損し素顔が露出したウルトラマンを見てスーパーマンは驚愕する。彼はスーパーマンのDNAから作られたクローンだった。ルーサーが要塞を開けられた理由もウルトラマンのDNAによるものだった。
ウルトラマンはルーサーの命令しか聞かず、戦いが続く中、クリプトが加勢してスーパーマンを救出する。
ボラビア軍に侵攻された国も、ガイ・ガードナー、ホークガール、メタモルフォによって救出された。
クリプトがウルトラマンを操作するドローンを破壊し、スーパーマンはブラックホールに彼を投げ込み撃破するのだった。
最後にスーパーマンとテリフィックはルーサーの元を急襲し、ポータルの亀裂を修復。さらにはロイスとデイリー・プラネットの記者たちが、ルーサーとボラビアの裏取引を世界中に暴露するのだった。
「侵略が使命の異星人」とルーサーに非難されたスーパーマンは、異星人であることよりも、地球で育ち、人間として間違いをしながらも「最良の選択をすること」が大切だと学び、それをルーサーに突きつける。
嫉妬に突き動かされていたルーサーは怒りをあらわにするが、クリプトに腕を噛まれされるがままに振り回されてしまうのだった。
すべての目的が暴露されたルーサーは犯罪者として逮捕され、全ての事態は収束した。
後日、修復された孤独の要塞とスーパーマンロボたちにスーパーマンがメンテナンスを受けていると、突然スーパーガール(ミリー・オールコック)が現れる。
実は彼女こそが本来のクリプトの飼い主であり、地球へと迎えに来たのだった。
スーパーガールを見送ったスーパーマンは、孤独の要塞で地球の両親の映像を見ながら、心身の回復を進める。映画はその姿で幕を閉じる。
『スーパーマン』(2025)のあっさりポスクレと、カメオ出演
本作ではアメコミ映画おなじみのポストクレジットシーンが用意されていた。
鍛えられたアメコミ映画ファンたちはもはやエンドロールで席を立つことはほとんどなく、『スーパーマン』においても同じ期待をしながら席に座り続けた。
DCUシリーズとしても初のポスクレだったが、それは競合であるマーベル・スタジオのMCUシリーズとは異なる形だった。
ポストクレジットシーンは2種類存在する。
ひとつは、スーパーマンとクリプトが月、あるいは隕石のような場所に座りながら食事をするというもの。地球を眺めながら一人と一匹の背中が映るという非常に短いシーンだ。

これは映画公開前にジェームズ・ガン監督が投稿していたもので、まさかこれが本編のポストクレジットシーンであるとは予想外だった。
ガン監督があえてこのシーンを投稿したのは、この「ポスクレ文化」を揶揄しようとしていたのではないかと、映画の席に座りながら少し勘ぐってしまった。
もうひとつはスーパーマンとミスター・テリフィックのシーン。
亀裂が修復されたメトロポリスのビルを見上げる二人だが、スーパーマンが「ビルが少しズレて繋がっている」と指摘すると、どうやらそれはテリフィックの地雷だったようで、何とか取り繕おうとしながらも「ケチを付けられた」と感じたテリフィックは不貞腐れた様子でその場を去っていく。
どちらのシーンも、いわゆる“おまけ”的なニュアンスが強く、MCU作品のように次作へとつながるような伏線的要素はなかった。
そのためこのシーンはファンが期待するようなシェアード・ユニバース感は薄かったものの、本編においてはピースメイカーやスーパーガールが登場しており、他作品との繋がりを自然に描いていた。
特にピースメイカーの登場には知っている人ならばクスっとくるシーンでもある。このあたりは非常にうまく盛り込んでいるし、『ピースメイカー』シーズン2の配信も控えている中で、うまいプロモーションだったとも言えるだろう(U-NEXT登録しなければならないぞ)。
さらにアニメ『クリーチャー・コマンドーズ』に登場したA.R.G.U.S.のリック・フラッグ・シニア(フランク・グリロ)や、ジャスティス・ギャングを支援するマクスウェル・ロード(ショーン・ガン)も短いながら登場。こうしたキャラクターによって、さりげなく他のDCU作品を想起させる演出がなされていたのもうまい演出だった。
ちなみに『ピースメイカー』シーズン2ではジャスティス・ギャングのメンバーも登場予定とのことで、こちらでもシェアード・ユニバースな演出を楽しめそうだ。
ジェームズ・ガン監督は映画公開前にポストクレジットシーンについての考えを語っており、あっさりとした内容になったのも監督の意図によるものだろう。
(個人的には特に大きな演出もなかったポスクレに、デッドプールの「まだいたの?」の声が脳内で響いていた)
ジェームズ・ガン節炸裂な『スーパーマン』(2025)の良いところ
満を持して公開された、アメコミ作品に引っ張りだこのジェームズ・ガン製『スーパーマン』。
予告編の時点で1978年版『スーパーマン』をオマージュする演出が見られ、ノスタルジーと新しさがうまく融合していたのは、まさにジェームズ・ガンらしい手腕と言えるだろう。
近年のレトロ志向やノスタルジーブームにも運なのか、狙っているのかはわからないが、うまいこと乗っている(同時期に話題となっているマーベルの『ファンタスティック4』もまたその流れにある)。
そんな本作で、個人的に良いと感じた点をいくつか紹介していこうと思う。
『GotG』『スースク』のあのアクション演出も
本作のアクションは、潤沢な予算が投じられていることもあり、非常にスケールが大きい。スーパーマンに加え、ジャスティス・ギャングや複数のヴィランが登場したことで、等身大から巨大なものまで幅広いアクションが展開されるのも見どころである。
ある意味、この“規格外”こそがスーパーマン映画の醍醐味とも言えるかもしれない(ビルの倒壊をパワーで支える描写には若干の??なところでもあるが)。
また『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』や『ザ・スーサイド・スクワッド』でも披露された洋楽BGMと「長回し風アクション」も健在だ。
特にポータル装置を突き止めたミスター・テリフィックが、ロイスをバリア内で守りつつ、球体ドローンを使ってルーサーの特殊部隊「プラネット・ウォッチ」を次々となぎ倒していくシーンは、まさにジェームズ・ガン節を感じさせる場面だった。
ジェームズ・ガンが求めたスーパーマンの優しさ
ガン監督は映画公開前から、本作のテーマの一つに「優しさ」があると語っていたが、まさにその通り、スーパーマンは人々の希望や善の象徴として描かれていた。
同時に、迷いや過ちといった人間的な側面も持たせたことで、観客の共感を得られるキャラクターに仕上がっていたのも印象的だった。治療しているシーンの際に両親の映像を見て心を落ち着かせるシーンは、むしろ子供っぽさを感じるところでもある。
そして終盤、スーパーマンがルーサーに語りかける「すべての人間には優しさがある」という言葉こそが、ガン監督が本作を通して伝えたかった核心部分なのだと思う。
一部では「目覚めた系」などと揶揄される向きもあるが、現代において「優しさ」を描くことは決して時代錯誤ではなく、むしろ今だからこそ必要なテーマであったとも言える。
『スーパーマン』(2025)は良作でも完璧ではない
ここまで『スーパーマン』のストーリーや良い点について述べてきたが、やはり完璧な映画というのはそう簡単に出会えるものではない。本作にも「ウーン??」と首をかしげる点が2つあった。
とはいえ、それも致命的とまでは言えず、観客の受け取り方次第とも言えるため、その点は留意していただきたい。
スーパーマンの生みの親は侵略者なのか?
ひとつはスーパーマンの生みの親であるクリプトン星の両親によるメッセージの内容だ。
過去作におけるジョー=エルは善人として描かれ、地球を侵略せよと命じるような存在とは思えないのだ。
しかし本作では、この映像がフェイクや捏造ではなく、エンジニアが復元した“オリジナル”のものであると強調されている。これは終始一貫しており、映画冒頭で生みの親の映像を見て落ち着こうとしていたスーパーマンが、終盤では地球の育ての親の映像を見ている点からも、両親が侵略を目的とした異星人であると本作では描かれていることがわかる。
とはいえ、劇中で「フェイクではない」と繰り返されていたこと自体が、逆に何か裏がある可能性も示唆しているように思える。
また、メッセージの前半と後半の語り口や内容に一貫性がないのも事実で、前半では地球や人々を愛するように語っていたにもかかわらず、後半では侵略を促す内容へと変わっている。
これらの点からも、今後のDCU作品において、このメッセージの真意が明かされる可能性があると見ても良いかもしれない。いずれにしてもジャームズ・ガンの頭の中で何が計画されいるのか注目しておきたい。
ボラビア軍の侵攻もスーパーマンが止めるべき
もうひとつは終盤のボラビア軍による侵攻再開のシーンだ。
予告編でも使用されていた、少年がスーパーマンのエンブレムが描かれた旗を掲げ、スーパーマンの名を叫ぶ場面では、やはり彼が助けに来るものと期待してしまった。特に人命救助の描写が本作の軸でもあったからこそ、そう思わせた部分もある。
ところが実際に現れたのはジャスティス・ギャングだった。
ガイ・ガードナーは「スーパーマンの代理」と述べていたが、それに対する少年の微妙な表情が印象に残った。
スーパーマンの行動に感化されたヒーローたちが立ち上がったのだと捉えれば、遠回しにスーパーマンの存在が助けとなったとも言える。しかしやや腑に落ちないのは否めない。
この時スーパーマンはウルトラマンとの対決や、ポケットユニバースの亀裂への対処で現地に向かうことが困難だったことは言うまでもない。
だが、劇中で使われていたルーサーが使用していたポータル装置を用いれば、国境付近まで移動する演出も可能だったように思える。また、ジャスティス・ギャングがあっさり解決していたことを踏まえると、スーパーマンでも迅速に対応できたようにも感じられた。
見せ場のバランスや、再度の国際問題介入への懸念など演出上の理由はあるにせよ、やはり多少の違和感が残る場面であった。
『スーパーマン』(2025)はDCU最高のスタート
『スーパーマン』はDCスタジオが新たに立ち上げたシェアード・ユニバースの「DCU」の初の映画作品だ。
なおかつDCスタジオ共同代表を務めるジェームズ・ガン監督が手掛ける作品ということもあり、非常に注目度の高い映画だった。
個人的にはめっちゃ楽しい映画。
公開前は不穏な情報も入ってきていたが、蓋を開けてみれば、スーパーマンへの解釈や描写、そして映画としてのみやすさやアクションの派手さなど、そういったすべての要素が絶妙なバランスで盛り込まれ、テーマ性もわかりやすい点はさすがのジェームズ・ガンといったところだった。
映画批評サイトでも概ね良好な支持率を得ていることからも、『スーパーマン』は映画としても一定の評価と興行収入は獲得できそうだ。
本作に登場したスーパーマンは今後もDCU世界にて活躍する重要なヒーローの一人になることが予想されるため、『スーパーマン』から広がる新たな世界がどのようなものになるのか注目をしておこう。
『スーパーマン』は2025年7月11日より劇場公開中だ。

「Ginema-nuts」「トイハコ」の管理人です。アメコミ、特撮が主食の大きなお友達の一人です。
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