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『ミッション:インポッシブル』シリーズは、超絶スタントと同じくらい制作費の「金のかかり方」でも有名だが、その裏側でトム・クルーズとスタジオ側の駆け引きがかなりギスギスしていたようだ。
ハリウッド・レポーターによれば、パラマウントの幹部は、本作の制作費について「足りない分は自分で集めてほしい」とクルーズに伝え、大きな不満を招いていたという。
ここ数作の興行成績を見ると、スタジオ側が慎重になる事情もある。『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング』は制作費約2億9100万ドルに対して世界興収は約5億7100万ドルと、決してコケではないものの、投じたコストに見合う勝ちとは言い難い結果だった。
続く最終作『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』は、制作費が約4億ドルに膨れ上がった一方で、興収は約5億9800万ドルにとどまり、シリーズの採算性に疑問を残す結果となった。
報道によれば、クルーズは撮影とスケール拡大のために「数千万ドル単位」の追加予算を要求。しかしスカイダンスCEOのデヴィッド・エリソン氏は、その一部はクルーズ自身で資金を調達するべきだと示唆したとされる。この発言にクルーズは激怒し、エリソン氏が同席する会議には出席しないと周囲に伝えていた、とも書かれている。
最終的にはスタジオ側が折れ、追加の制作費はパラマウント/スカイダンスが負担する形で決着したとされる一方、スカイダンス側は「不仲は誇張されている」と火消しのコメントも出している。
最近ではクルーズが新経営陣にあいさつに訪れるなど、表向きには関係は修復されているようだ。巨大フランチャイズを続けるために、俳優スターとスタジオがギリギリのラインで駆け引きをしている構図が透けて見える。
クルーズには現在も大型企画が控えている。『トップガン3』はパラマウントにとって鉄板級の投資案件と見られている一方で、海を舞台にしたディザスター映画『Deeper』は、制作費約2億7500万ドルという規模がネックとなり、複数スタジオが二の足を踏んでいると報じられている。ワーナー・ブラザースは上限2億3000万ドルまでしか出せないとして手を引き、ユニバーサルも見送った結果、実現させられる規模のスタジオとしてパラマウント・スカイダンスに再び白羽の矢が立っている状況だ。
『ミッション:インポッシブル』は一時代を築いたシリーズであり、トム・クルーズの代名詞でもある。ただし近年の興行と制作費のバランスを見るかぎり、「トムのやりたいこと全部」には、もはやスタジオも簡単には首を縦には振れない段階に来ていることが分かる。
今後、シリーズが本当に「ファイナル」で終わるのか、それとも別の形で復活するのかは、興収だけでなく、クルーズとスタジオの力関係にも左右されていきそうだ。

おそろしいほどの巨額

映画情報サイト「Ginema-nuts(ギネマナッツ)」の編集部です。
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