ディズニーのFOX買収、映画館オーナーは”恐怖”で批判できず? ー 公開本数減少で死活問題の懸念も

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ハリウッドの映画市場は転換期を迎えており、観客の作品体験が大きく変化するなかで、各スタジオは厳しい状況に置かれていると報告されている。そうした潮流の中でも勢いを増す企業がある一方で、数年前にはウォルト・ディズニー社による旧20世紀FOXの買収が決定していた。

巨大企業同士の買収は市場に大きな影響を与えたが、当初ディズニーはFOX買収後も供給本数を減らさないとしていた。そのため当時は映画館オーナーから目立った反発は聞こえてこなかったが、TheWrapの取材によれば、実際には多くのオーナーが水面下で不満を抱いていたという。

”ディズニーは、20世紀スタジオが出す映画の本数を減らさないと約束したが、結局は減らした。そして今、その影響が見えていて大きな不満がある。だが当時は誰も何も言わなかった”

参考として、売却前のFOXの公開本数は2017年が16本、2018年が15本であった。だがディズニーの傘下に入った後は、2024年は2本、2025年は5本と急減している。あるオーナーは「ディズニーを信頼していたか、ディズニーを恐れていたかのどちらか」と語る。ヒットを連発していた当時のディズニーに上映を拒まれれば、映画館の経営に直結する死活問題となり得たからだ。

もちろん、数字がどの程度実収益に波及したかは断定できない。特にコロナ禍を挟んだため、パンデミック由来の落ち込みが相当部分を占めている点は留意が必要である。

現在はワーナー・ブラザース・ディスカバリーの身売りが取り沙汰され、複数の企業が提案を行っているとされる。パラマウント・スカイダンスが筆頭候補とされ、交渉が続くとの報道もある。ただ、ディズニーとFOXの事例に照らせば、買収後の公開本数のさらなる縮小を懸念する声は強い。特に候補に名の挙がるNetflixに対しては、劇場より配信を優先する事業構造ゆえに、オーナー側は強い警戒感を示している。

映画館は日常の中にある特別な場であり、記憶に残る体験を生む場所だ。スクリーンの灯が細ることのないよう、今後の業界再編が観客の選択肢を狭めない形で進むことを願いたい。

そりゃ怖いよ

ゆとぴ

ギネマナッツ編集部

映画情報サイト「Ginema-nuts(ギネマナッツ)」の編集部です。

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