タランティーノ、『ハンガー・ゲーム』著者を”盗作”批判 ー 「バトル・ロワイアルじゃないか」

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クエンティン・タランティーノ監督が、またしても映画界隈に物議を醸すコメントをした。

自身の21世紀映画ベスト20を語るポッドキャスト出演の中で、タランティーノ監督は2000年公開の日本映画『バトル・ロワイアル』を第11位に挙げると同時に、『ハンガー・ゲーム』シリーズの原作者スザンヌ・コリンズ氏に対して、「ほとんど丸ごとパクっている」と受け取れる発言をして話題となっている。

『バトル・ロワイアル』は、高校生たちのクラスが丸ごと拉致され、独裁色の強い政府の命令で“最後のひとりになるまで殺し合いを強制される”といういまの「生き残りゲーム」作品にも通じるサバイバル作品である。藤原竜也ほか、北野武などの出演でも話題となり、いまでももカルト的人気を持つタイトルだ。

一方『ハンガー・ゲーム』は、独裁国家パネムを舞台に、12地区から選ばれた男女の若者たちが“見世物としての殺し合いゲーム”に参加させられる物語で、2008年の原作小説と2012年の映画版が世界的ヒットを記録した。

タランティーノ監督は、2つの作品の共通点があまりに多いと感じているようだ。

”『バトル・ロワイアル』は同名小説が原作なんだ。日本の作家が、スザンヌ・コリンズを訴えて、彼女の持っているものを全部取り上げなかったのが理解できないよ。あの本を完全に丸ごと盗んでいるじゃないか。くだらない書評家たちは、日本映画『バトル・ロワイアル』なんてわざわざ観に行かないから、誰も彼女を指摘しなかったんだ。”

かなり過激な言葉づかいだが、タランティーノ監督の論点は、どちらの作品も「管理社会」「若者たちだけを戦わせるサバイバルゲーム」「国家による見せしめ」という構図を持っており、後発の『ハンガー・ゲーム』が『バトル・ロワイアル』の設定をそのまま流用しているように見える、という指摘である。

さらに、当時のリアクションとして「映画版『ハンガー・ゲーム』を観た批評家たちは、これは暴力を薄めた全年齢向けの『バトル・ロワイアル』だ」とすぐに気付いた」と明かしている。

一方で『ハンガー・ゲーム』のスザンヌ・コリンズ氏は過去のインタビューで、小説執筆時には『バトル・ロワイアル』の存在を知らず、原稿を書き上げたあとに初めてそのタイトルを編集者から聞いたと語っている。編集者からも「影響を受けないように、いまは読まないほうがいい」と言われ、執筆には取り込まなかったと説明している。

このため、法的な意味での「盗作」かどうかは、現時点で判断されていないし、実際に訴訟になった事実もない。タランティーノ監督のコメントは、あくまで1人の映画作家や映画ファンとしての感想という意味づけが強い。

映画への熱量はまさにオタクそのもののタランティーノ監督。現在彼が選んだ21世紀映画ベスト20は11位までが発表されている。

20. 『ウエスト・サイド・ストーリー』
19. 『キャビン・フィーバー』
18. 『マネーボール』
17. 『チョコレート』
16. 『デビルズ・リジェクト マーダー・ライド・ショー2』
15. 『パッション』
14. 『スクール・オブ・ロック』
13. 『ジャッカス・ザ・ムービー』
12. 『オオカミは嘘をつく』
11. 『バトル・ロワイアル』

なかなか臆すること無い発言ですね

ゆとぴ

ギネマナッツ編集部

映画情報サイト「Ginema-nuts(ギネマナッツ)」の編集部です。

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