ジャー・ジャー・ビンクス役声優、当時の反発を振り返る ー 「CG批判の避雷針だった」

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ルーカスフィルムの『スター・ウォーズ』シリーズに登場するキャラクターは、魅力的なものが多く、世界中のファンから支持を受けている。しかし一方で、強い反発を呼んだキャラクターも存在する。

1999年に公開された『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』に登場したジャー・ジャー・ビンクスがその代表例である。

当時、彼に対する批判は多岐にわたっていた。人種差別的であるとの指摘や、完全なCGキャラクターで実在感に欠ける点、作品のトーンを茶化すかのような存在感、さらにはその性格までもが批判され、アメリカでは「ルーカスフィルムの失敗作」「映画史に残る不愉快キャラクター第1位」と評されるなど、激しいバッシングを受けていた。

最近、ジャー・ジャー・ビンクスの声を務めたアーメド・ベストが、当時の状況を振り返って語っている

”1999年は映画制作全体においてデジタル化が急速に進み、大きな変化が起きた時期でした。ですから、デジタル映画制作が主流になるという考えに、強い抵抗感を持つ人がたくさんいたのです。(中略)その手法のパイオニアになることは、反発を避けられません。そしてジャー・ジャーは、その反発の避雷針のような存在になってしまったのです。(中略)私にとって辛かったのは、作品がその影に隠れてしまったという事実でした。”

当時のハリウッドではCG技術はまだ黎明期であり、いまでは一般的となったモーションキャプチャーも非常に珍しいものであった。アーメド・ベストの言う通り、最新技術への反発がジャー・ジャー・ビンクスに集中した結果、彼は技術革新の犠牲者となってしまったのだ。

また、その激しい批判によって『ファントム・メナス』という作品自体の評価がかすんでしまったことについても、アーメドは「作品に貢献できなかった」と悔しさをにじませている。

なお、ジョージ・ルーカス監督自身は当時「20年後には状況が変わるだろう」と語っており、実際に現在ではCGやモーションキャプチャーは主流の技術となっている。ジャー・ジャー・ビンクスへの批判も、当時ほど激しいものではなくなってきている。

ジャー・ジャーが技術革新の先駆けとして登場したキャラクターであり、その存在が映像技術の進歩に大きく貢献したことは間違いないだろう。

彼は『スター・ウォーズ』エピソード1〜3に登場する唯一のフルCGキャラクターとされているが、『クローンの攻撃』や『シスの復讐』では、前作の反響を受けてか出演シーンが大幅に減少し、黒歴史のように扱われてしまった。

ジャー・ジャー・ビンクスが再び実写作品に主要なキャラクターとして登場するかは難しいところだが、スター・ウォーズの善悪が逆転した世界を描くアニメ『LEGO スター・ウォーズ:リビルド・ザ・ギャラクシー』では闇落ちしたジャー・ジャー・ビンクスの姿を楽しむことができる。この作品は現在Disney+(ディズニープラス)で配信中だ。

ゆとぴ

ギネマナッツ編集部

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